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山陰経済ウィークリー「さんいん企業物語」④

山陰中央新報社さん発行の山陰経済誌「山陰経済ウィークリー」に掲載頂きました。

「さんいん企業物語」というコーナーで、4週連続掲載のものです。

 

 

以下、内容を転載します。


【企業物語】藤本米穀店(4)「農地を守る」

有志とともに草刈りイベント
農家の作業負担を軽減、交流も

2008(平成20)年に(有)藤本米穀店(松江市東本町)に入社した藤本真由(37)は、程なく専務となり、本格的に店の運営に関わるようになった。特に力を入れたのが商品開発で、贈答にも使い勝手が良く顧客に喜ばれるような商品を考案していった。その一つが、赤ちゃんが生まれた時の体重と同じ分量のコメを袋詰めする「赤ちゃん出生体重米」で、12(同24)年から販売を始めた。

 

贈答用など商品開発

赤ちゃん出生体重米は、依頼者から提供を受けた赤ちゃんの写真データをパッケージの袋と外箱に印刷。名前や生年月日、出生体重のほか、贈る人からのお祝いメッセージなどを添えた。

発想のきっかけは10年ほど前、真由が友人から頼まれて作った同様の商品だった。贈り先から生まれた重さを実感できると好評だという喜びの声を受け、本格的に取り扱うようになった。現在も内祝い用を中心に人気商品になっている。

いろいろな商品の開発を積極的に手掛ける真由だったが、16年(同28)に大きな節目を迎えた。その一つが、松江観光ガイドを務めていた夏海(32)との結婚だった。2人の思い入れの深い場所でもある松江城で、興雲閣を会場にした人前式では家族や親族、友人だけでなく、居合わせた多くの観光客にも見守られての門出だった。

真由は、それから間もなく5代目の社長に就任。会長となった真一郎(63)のサポートを受けながら、夫婦で公私ともに支え合い藤本米穀店を引っ張っていくことになった。

 

コメの台湾輸出事業

社長となった真由は、それまで以上に県内の農家とのつながりを深めていったが、その中で「良質のコメの母体となる農地をいかに守っていくか」という思いを強く抱くようになった。

藤本米穀店がこだわりのコメとして扱う「うやま米」。その産地である雲南市吉田町の宇山地区で生産者とともに「どうすれば農地を守れるのか」と、いろいろな課題を思い描く中で、草刈り作業による農家の負担の大きさがあることに気づいた。

そこで、同地区の住人・出身者・関係者らで「里山照らし隊」を結成し、地域外から有志を募り農家と一緒に草刈りを行うイベントを「草刈り応援隊」と題して18(同30)年にスタートさせた。

イベントには関係者以外も募るため、チラシや会員制交流サイト(SNS)を活用して一般にも広く開催情報を発信している。今年は、計3回の開催で県内外から延べ約130人が参加した。楽しそうに草刈りをする姿があり、作業終了後には地域住民がコメや山菜などを使った料理を振る舞い交流を深めている。

真由は「産地がなくなってしまえば、藤本米穀店としても売るものがなくなってしまう」と話し、楽しみながら課題を乗り越えようとする草刈り応援隊のイベントを今後も継続していく考えだ。

このほか、藤本米穀店は雲南市産のコメの台湾輸出支援がきっかけで継続的な取引に繋がり、毎年現地へ出向き販売会を行っている。真由は「海外へも販路を確保することで消費が拡大し農家のやりがいにもつながる。それが米作りを守ることになり、さらには農地を守ることにもつながるはず」と意義を語る。

 

お試しにキューブ米

現在、藤本米穀店が取り扱うこだわりのコメは吉田町「うやま米」や奥出雲町馬木地区から仕入れる「まき」、吉賀町の「注連川の糧」、隠岐の「隠岐藻塩米」など約30種類にまで増えた。いろいろなお米をお試しで購入してもらおうと、19(同31)年に精米を立方体に真空包装した「キューブ米」(300グラム)を商品化した。

キューブ米は精米してから鮮度が落ちにくいのが特長。商品開発に当たっては真空包装機や自動計量器を導入した。鮮度を保持した少量売りで、贈答用として人気を集めており、企業から千個を超える注文を受けたこともあった。今後も、新たな商品開発や販売に力を入れていく考えだ。

1893(明治26)年に創業した藤本米穀店。初代の藤本虎之助がコメに着目したことで始まった歴史は126年を刻む。代々の経営者たちは「良質なコメ」を求めて島根県内の産地を訪ね歩き、こだわりのコメを取りそろえていった。

父親の真一郎会長(63)とともに会社を切り盛りする5代目の真由は「島根県内には良い産地が数多くある。地域の品質の良いコメを流通させたい」と力を込め、初代から脈々と受け継いできた伝統を重んじながら、生産者とのつながりを強みに今後も一貫して「品質と信用」を守り抜いて販売していく。


以上、4週に渡る掲載となりました。

弊社としても今までの歴史を振り返る良い機会になりました。

藤本米穀店は私・真由で5代目となります。

生まれる前のことがほとんどなので、山陰中央新報社さんの取材に対して、昔の山陰中央新報社さんの記事を見ながら答えることも多く、何かを残すことは大切だと実感しました。

弊社の創業日が分かる営業許可証があったことも、これがなければ創業年が分からなかったので保存されていた町内の安達さんには感謝です。

 

じっくり取材して頂いた山陰中央新報社さん、ありがとうございました。